今日の文章はちょっと長いので、二つ分けて貼り付けます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本当の顔
自分で自分の顔は見られない。
これが、人間の宿命である。鏡に映せばそれは、見られる。しかし、それは鏡に映すぞ……と言う心構えを経たのちの、自分の顔であって、そこには既にいい顔への演技演出が潜んでいる。
自然の、ありのままの顔などではありえない。
本当の自分の顔にって、どんな顔なのだろうと、非常に興味深くと思う。
写真を見るたびに、こんな顔か……とがっかりしたり、苦笑したりするのだが、それは実のところ、自分の顔を買いかぶって考えている証拠なのだろう。だが、写真に写った顔というのは、誠に信用しがたいと思う気持ちは抜きがたい。
写真家の秋山庄太郎さんがある時、しみじみ言っておられたが、たいていの人は、写真を取り終わった瞬間に、一番いい顔を見せるそうである。だから写真家は、二番目以下の顔しか取れない、そこが、写真の宿命だ……というのであった。