第一回 解夏〜愛は注ぎ続けるもの
20分-30分
(春、東京。三人はそれぞれの仕事に精を出している。四季は研修医として文京中央病院の小児科で働いている。)
患者の母親:ちょっとすみません、もう一時間も待ってるんですよ。
四季:すみません。これ、青木先生にお願いします。
看護婦:はい。
四季:熱少しあります、えーと、アンできる?
(疲れ果てた四季はエレベータを乗っている、そこでへたり込んでいると強面の医師降谷圭輔が現れた。)
四季:降谷先生、先週から小児科にきました、研修の友川です。よろしくお願いします。
降谷:あ、よろしく。あ、ちょっと付いてきて。
四季:え?はい。
降谷:ここが君の担当する病室だ。
四季:はい。
降谷:この中で一番重い病気にかかっているのがどの子かわかるか?
男の子:やった、揃った。
看護婦:早く野球をできるようになるといいね。
男の子:はい。
四季:あの子でしょうか。
降谷:松尾隆介骨折、三週間後は退院できる。
男の子:勝利のジャンパだ。
降谷:あの一見元気そうなのは川根文だ、急性骨髄性白血病だ、こんな邪険な結果じゃなかったら、彼に残された時間が少なく、彼自身もそのことを知ってる、だけどな、彼常に仲間を笑わせようとするムードメーカーで、ここでの生活を精一杯で楽しもうとしている。まあ、それが小児病棟だ。
医者:あの病室は長く入院してる子が多くて、他の病室と比べても問題が多いんです。健太君と彩名ちゃんは仲が悪いので、気をつけてください。翔子ちゃん、今日も誰とも口を利かなかったみたい。
四季:あぁ、そうか。
医者:外来も兼務なんだって、降谷先生の気に障るようなことをしたんじゃないの?
四季:してませんって。
医者:変わり者だからね。あの先生、まあ、三ヶ月の我慢だよ、どうせ小児科医になる気がないんでしょう、俺もここだけはパスだなぁ。
(四季、亜衣、新吾、三人が居酒屋で飲んでいる)
四季:偶にさ、合コンとかに誘われたりするじゃない、やっぱりナースはもってるんだよね、あのさ、女医の子たちはさみんなナースの人と行くんだけど、実は女医だなんてばれると、いきなりみんな引いちゃうんだよね、まあ、小児科研修医になっちゃったからさ、時間も全然なくなっちゃうし。
亜衣:新吾さ、いい男を紹介してあげなよ、
新吾:えー、
四季:いいってば、
亜衣:私たち26だよ、彼氏もいなくて、そんなでいい夢見れる?オリンピック出れる?
新吾:なんだよ。
四季:オリンピックには出れないかもけど、彼女何歳だっけ?
亜衣:三歳、あ、そろそろ帰ってきたかな、電話してくるね。
ウェイトレス:失礼いたします。
新吾:はい。
四季:もっとこんな風に会っておけばよかったね、
新吾:まだ後悔をしてんのか、利也見かけたときに声を掛けなかったこと。
四季:最後に見た利也の顔がなんだか気になって、
新吾:最後の顔?
四季:うん。
(四季は亜衣と新吾を連れて家に帰る)
新吾:お邪魔します。
亜衣:こんばんは。
四季:ごめんね、狭くて。
亜衣:いい香りだね。
新吾:OOOO(聞き取れなかった)
四季:相変わらずよ。
鉄雄:お前食えねえってやつだな、後継いでもなんでもないんだよ。
満雄:お前になんか継がねえってつったんだろう、俺パン党なんだよ、パン党。
鉄雄:こんなもんでよ、腹いっぱいになるか、ばか。
満雄:なるんだよ。
鉄雄:てめー、このやろう、こーら、
満雄:ねいちゃん、このくそじじい、晩飯がねえっつったら、あきたこまち食えっつったんだぞ。
四季:いいんじゃない?
満雄:ちがうよ、あきだこまちをおかずにこしひかりを食えっつんだよ。ご飯をおかずにご飯を食えるの、ばか。
鉄雄:食えんだよ。
満雄:食えねえよ。平時お前と一緒にすんなよ、ばか。
鉄雄:0000(聞き取れなかった)、そうやって育つもんだぞ。
満雄:そんなことしたこと、、、
四季:二人とも、お客さんだよ、ほら、ほら。
新吾:こんばんは
亜衣:こんばんは
鉄雄:お、新吾と亜衣じゃないかよ。亜衣ちゃん、ずいぶんでげーもんなったよ。家の嫁に行くか?
満雄:あ、本当、あ、いいんですね。
鉄雄:ばか、おめえじゃねえ。
満雄:おめえかよ、おい。
四季:送っててもらったよ。お父さんに挨拶したいって言って
鉄雄:挨拶?あ、はい、うん?そうか、ついにきたか。新吾君、薄らかな娘であるが、よろしくお願いしたんだ。本当にありがとうな。
四季:何勘違いしてんのよ。おとうさん、
鉄雄:えー?
四季:ここクリーム付いてる。
鉄雄:新吾もよお前、一人暮らしなんだよ、飯とかないとたいへんだろうさぁ、近所なんだから、お前なぁ、家だと思っていつでも来い、
新吾:遠慮なくきます。
四季:もういいからお父さん、早く行って。
新吾:じゃまたね。
亜衣:またね。
満雄:新吾さんはねえちゃんを嫁にするわけねえじゃねえかよ、大体父ちゃんだって、実際姉ちゃんが嫁に行くなんてっつったらさ、泣いて引き止めるくせによ。
鉄雄:あぁ、新吾だったらよ、安心してこの店任せられるんだけどなぁ。
四季:明日もう早いから、寝るわ。
満雄:俺も寝る。
鉄雄:おい、母さんにお休みは。
満雄:ああ、母ちゃんお休み。
鉄雄:おお、こりゃ、このやろう
四季:しょうがないよ、満雄はお母さんの記憶がないんだもん。
鉄雄:お前このところ毎日朝から晩まで休みないだろう、お前は何でも頑張りすぎるだなぁ、
四季:当たり前でしょう。
鉄雄:母さんの保険金だよ、医者になるところ、何も無理することねえんだよ、
四季:私はただ忘れ物をさがしてるの、
鉄雄:忘れ物?
四季:お母さんの人生の忘れ物、お母さんの人生は途中で終わっちゃったけど、きっとやり残すことはあるはずでしょう、だからあたしが。おやすみなさい。
鉄雄:うん、おやすみ。だってよ。
(病院で)
四季:政己くん、これなに?
政己:触るな、これは王さまの勲章なんだ。
四季:王さまの勲章?
政己:ほしい?ほしかったら、
看護婦:採血の準備できました。
四季:じゃ、聞いときましょうよ。政己君?
四季:お疲れ様でした。
(一日を終え、帰りかけたところ、廊下で俊介と偶然であった。)
[此贴子已经被作者于2007-8-15 1:10:46编辑过]