<第12回>
帰国する啓吾(金城武)のため、夕食を作り、花を買いに出た真生(深田恭子)は、突然苦しみ出し、そのまま病院に運ばれた。エイズを発症しての妊娠は、真生の体に大きな負担をかけていた。
弥栄子(田中好子)と義郎(平田満)は医師から子どもも、真生も予断が許さない状態であると聞かされた。刻々と時間が過ぎる。そこへ啓吾がやっとやってきた。真っ青な真生の顔を見て死を予感する啓吾だが、啓吾が触れた瞬間、真生がゆっくり目を開けた。「遅いよ」という真生に「ずっと元気でいる。そう約束したじゃないか」と啓吾は励まし、真生の指に約束の指輪をはめてやるのだった。
真生は、啓吾の愛に包まれ、体力を回復、二人だけで教会で永遠の愛を誓う。幸せな二人。だが再び真生は陣痛に襲われた。「この子だけは産みたい。私はどうなってもいい」。真生の切実な言葉が頭をよぎり、啓吾は弥栄子らが聞いていることを承知で「万一のときは子どもを助けやって下さい」と分娩室に向かう医師に告げる。辛い決断だった。
切迫した空気のなか、赤ん坊は産まれた。女の子。赤ん坊はチアノーゼを起こしており、真生同様危険な状態だった。体力を使い切った真生だが、「赤ちゃんが見たい」「元気づけたい」と言う。真生自身、動くことは大変危険だったが、啓吾は、意を決し、真生を抱き上げ、保育器にはいる赤ん坊を真生に見せるのだった。
危篤状態に陥った真生。時間だけが過ぎる。ただ祈るしかない啓吾は、後悔の思いでいっぱい。そんな苦しむ啓吾に、弥栄子が真生が撮った子どもへのメッセージビデオを見せた。必死に母であろうとする真生。啓吾は感動し、涙が止まらない。「真生。目を覚ませ」。集中治療室で啓吾はベッドの真生に必死に呼び掛けた。願いが通じたのか啓吾が落とした涙に起こされるように真生が目を開けた。「何、泣いてるの?」と真生。真生は奇跡的に元気を取り戻した。啓吾の愛に包まれ、真生の生きようという気持ちが病に勝ったのだった。
それから一か月、幸(さち)と名付けた子どもと、真生は無事退院、三人の幸せな新生活がスタートした。しかし、真生はエイズであることの不安から逃れられず、時折落ち込む。そんな真生に、啓吾は音楽学校を作る夢を話し「俺がいる。幸がいる。お前がいる。それで十分。それだけで幸せだ」。今、この一瞬を精一杯生きようと清々しく諭すように語るのだった。
再び、数か月、二人は家族、友人、知人を招き、結婚式を開く……。