「歌舞伎の回想録」――アメリカ人が書いた小説だが、最初は、「最新小説列挙」という雑誌の案内で知っていた。
京都をいうと、すぐ旧いお寺と歌舞伎の姿が浮かべてくる。
歌舞伎への興味は、中国の京劇へ熱情を持っている外国人とほぼ変わらないだろう。
特に、アメリカ人のイメージによる描かれた歌舞伎はどんな姿を持っているかなあ。。。さらに興味深くなる。
本を買ってきて一気に読み終わった。結局は、一種のラブ―ストリーだった。
技を売るだけで、身を売らない中国古代の歌姫と似る歌舞伎の生涯も必ず息苦しかっただろう。派手な着物、一分のすきもなく完璧な化粧、華やかな宴会、賑やかそうに見えるが、その賑わいの中で、どんな孤独で寂しい心を持っているかなあ。
主役であり一人前の歌舞伎である「初桃」と「小百合」。初桃の恐れずに思い切って事を行う性格に好きで好きでならない。気持ちがつかめない小百合より、率直な初桃のほうがもっと愛想いいじゃないか。だが、その長所は同時に短所でもある。その率直な性格のせいで、結局歌舞伎の役を失って町中に流離う始末になる。反対に、小百合は、何年間も経って、やっと自分の好きな男と一緒になる。奥さんではなく、情婦の形の存在でも構わないと彼女の度胸も感服だった。
その後、映画も見に行ったが、がっかりした。さっぱり。。。。。
背景は京都だが、アメリカ人の作品で、中国人が演じられるせいか、さっぱり日本古代の歌舞伎だと思わない。自分が描かれたシーンとまったく食い違っている。