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[分享]羅生門 芥川龍之介 [复制链接]

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只看楼主 倒序阅读 使用道具 楼主  发表于: 2004-12-16

羅生門    芥川龍之介


ある日の暮れ方の事である。ひとりの下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。


広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗りの剥げた大きな円柱に、キリギリスが一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男の外にも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。


なぜかというと、この二三年、京都には、地震とか辻風とか火事とか飢饉とか言う災いが続いて起こった。そこで洛中の寂れ方は一通りではない。旧記によると、仏像や佛具を打ち砕いて、その丹がついたり、金銀の箔がついたりした木を、道端に積み重ねて、薪の料に売っていたと言うことである。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、もとより誰も捨てて顧みる者がなかった。するとその荒れ果てたのをよいことにして、狐狸が住む。盗人が住む。とうとうしまいには、引き取り手のない死人を、この門へもってきて,棄てて行と言う習慣さえできた。そこで、日の目が見えなくなると、誰も気味悪がって、この門の近所へ足踏みをしないことになってしまったのである。


その代わりまた烏がどこから、たくさん集まってきた。昼間見ると、その烏がなん羽となく輪を描いて、高いしびのまわりを啼きながら、飛び回っている。ことに門の上の空が、夕焼けで赤くなる時には、それが胡麻を撒いたようにはっきり見えた。烏は、もちろん、門の上にある死人の肉を、啄みにくるのである。——もっとも今日は、刻限が遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草の生えた石段の上に、烏の糞が、点点と白くこびりついているのが見える。下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の襖の尻をすえて、右の頬にできた、大きなにきびを気にしながら、ぼんやり雨の降るのを眺めていた。


(つづく)

[align=right]if you haven't changed your mind
そばにいてほしいよ tonight
強がることに疲れたの
幼すぎたの
every time i think about you baby
今なら言える i miss you
it's so hard to say i'm sorry[/align]
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只看该作者 沙发  发表于: 2004-12-16
羅生門    連載 No.2
作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた。」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと言う当てがない。普段ならもちろん、主人の家へ帰るべきはずである。どころがその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町には一通りならず衰微していた。今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波に他ならない。だから「下人が雨やみを待っていた。」と言うよりも「雨に降りこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた。」と言うのほうが、適当である。その上、今日の空模様も少なからず、この平安朝の下人のSentimentalismeに影響した。申の刻下がりからふり出した雨は、いまだに上げる景色がない。そこで、下人は、何を置いても差し当たりあすの暮らしをどうにかしようとして——言わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、取り留めない考えを辿りながら、さっきから朱雀大路に降る雨の音を、聞くこともなく聞いていたのである。

雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと言う音を集めて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜めに突き出した甍の先に、重たく薄暗い雲をささえている。


どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいると魔はない。選んでいれば、築地の下か、道端の土の上で、飢死をするばかりである。そうして、この門の上へ持ってきて、犬のように棄てられてしまうばかりである。選べばないとすれば——下人の考えは、何度も同じ道を低回した挙句に、やっとこの局所へ逢着した。しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。下人は、手段を選ばないということを肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後にきたるべき「盗人になるよりほかに仕方ない」と言うことを、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。


下人は、大きなくさめをして、それから大儀そうに立ち上がった。夕冷えのする京都は、もう火桶がほしいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇とともに遠慮なく、吹き抜ける。丹塗りの柱に止まっていたキリギリスも、もうどこかへ行ってしまった。


下人は、首を縮めながら、山吹きのあざみに重ねた、紺の襖の肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風のうれえのない、人目にかかるおそれのない、一晩楽に寝られそうな所があれば、そこでともかく、夜を明かそうと思ったからである。すると、幸い、門の上の楼へ上がる、幅の広い、これも丹を塗ったはしごが目に付いた。上なら、人がいたとしても、どうせ死人ばかりである。下人はそこで、腰に下げた聖づかの太刀が鞘走らないように気をつけながら、藁草履をはいた足を、そのはしごの一番下の段へ踏みかけた。


(つづく)



[此贴子已经被作者于2004-12-16 22:26:44编辑过]
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只看该作者 板凳  发表于: 2004-12-16
羅生門    連載 No.3

それから、なん分かののちである。羅生門の楼の上へ出ると、幅の広いはしごの中段に、一人の男が、猫のように身を縮めて、息を殺しながら、上の様子を伺っていた。楼の上からさす日の光が、かすかに、その男の右の頬をぬらしている。短いひげの中に、赤くうみを持ったにきびのある頬である。下人は、はじめから、このうえにいるものは、死人ばかりだと高をくくっていた。それが、はしごを二三段上ってみると、上では誰か火を点して、しかもその火をそこここと動かしているらしい。これは、そのにごった、黄色い光が、隅々に蜘蛛の巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにそれと知れたのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火を点しているからは、どうせただの者ではない。


下人は、守宮のように足音をぬすんで、やっと急なはしごを、一番上の段まで這うようにして上がり詰めた。そうして体を出きるだけ、平らにしながら、首をできるだけ、前へ出して、恐る恐る、楼のうちをのぞいてみた。


見ると、楼のうちには、うわさの来たとおり、いくつかの死骸が、無造作に捨ててあるが、火の光のおよぶ範囲が、思ったより狭いので、数はいくつとも分からない。ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中に裸の死骸と、着物を着た死骸とあるという事である。もちろん、中には女も男も混じっているらしい。そうしてその死骸はみな、それが、かつて、生きていた人間だという事実さえ疑われるほど、土をこねて作った人形のように、口をあいたり、手をのばしたりして、ごろごろ床の上に転がっていた。しかも、肩とか胸とかの、高くなっている部分に、ボンヤリした光を受けて、低くなっている部分の影をいっそう暗くしながら、永久におしのごとく黙っていた。


下人は、それらの死骸の腐乱した臭気に思わず、鼻を覆った。しかし、その手は、次の瞬間には、もう鼻を覆うことを忘れていた。ある強い感情が、ほとんどことごとくこの男の臭覚を奪ってしまったからである。


下人の目が、そのとき、初めてその死骸の中にうずくまっている人間を見た。桧皮色の着物を着た、背の低い、やせた、白髪の頭の、サルのような老婆である。その老婆は右の手に火を点した松の木切れを持って、その死骸の一つの顔をのぞき込むように眺めていた。髪の毛の長いところを見ると、たぶん女の死骸であろう。


(つづく)

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只看该作者 地板  发表于: 2004-12-16
羅生門 連載 No.4
下人は、六分の恐怖と四分の好奇心と動かされて、しばらくは呼吸をするのさえ忘れていた。旧記の記者の言葉を借りれば、「頭の毛も太る」ように感じたのである。すると老婆は、松の木切れを、床板の間にさして、それから、今まで眺めていた死骸の首に両手をかけると、ちょうど、猿の親が猿の子の虱を取るように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。髪は手にしたがって抜けるらしい。

その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えて行った.そうして、それと同時に、子の老婆に対する激しい憎悪が、少しずつ動いてきた。——いや、子の老婆に対するといっては、語弊があるかもしれない。むしろ、あらゆる悪に対する反感が、一分ごとに強さを増してきたのである。このとき、誰かが子の下人に、さっき門の下で子の男が考えていた、餓死にをするか盗人になるかという問題を、改めて持ち出したら、おそらく下人は、何の未練もなく、餓死にを選んだ事であろう。それほど、子の男の悪を憎む心は、老婆の床にさした松の木切れのように、勢いよく燃え上がり出していたのである。


下人は、もちろん、なぜ老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。したがって、合理的には、それを善悪のいずれに片付けてよいか知らなかった.しかし下人にとっては、子の雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪を抜くということが、それだけですでに許すべからざる悪であった.もちろん、下人は、さっきの自分が、盗人になる気でいたことなぞは、当に忘れているのである。


そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、はしごから上へ飛び上がった。そうして聖づかの太刀に手をかけながら、大股に老婆の前へ歩み寄った。老婆が驚いたのは言うまでもない。


老婆は、一目下人を見ると、まるで石弓にでもはじかれたように、飛び上がった。


「おのれ、どこに行く。」


下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行く手をふさいで、こうののしった。老婆は、それでも下人をつきのけて行こうとする。下人はまた、それを生かすまいとして、押し戻す。二人は死骸の中で、しばらく、無言のまま、つかみ合った。しかし勝敗は、はじめから分かっている。げにんはとうとう、老婆王出をつかんで、無理にそこへねじ倒した。ちょうど、にわとりの脚のような、骨と皮ばかりの腕である。


(つづく)

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只看该作者 4楼 发表于: 2004-12-16
羅生門 連載 No.5
「何をしていた。言え。言わぬと、これだぞよ。」下人は、老婆を突き放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼の色をその目の前へ突きつけた。けれども、老婆は黙っている。両手をわなわな震わせて、肩で息を切りながら、目を、目玉がまぶたの外へだそうになるほど、見開いておしのように執ねく黙っている。これを見ると下人は始めて明白にこの老婆の生死、ぜんぜん、自分の意志に支配されているということを意識した。そうしてこの意識は、今まで険しく燃えていた憎悪の心を、いつの間にかさましてしまった。後に残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就したときの、安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆を身を見下ろしながら、少し声を柔らげにこういった。

「俺は検非違使の庁の役人などではない。いましがたこの門の下を通りかかった旅の物だ。だからお前に縄をかけて、どうしようということはない。ただ、いまじぶんこの門の上で、何をしていたのだか、それを俺に話しさえすればいいのだ。」


すると、老婆は、見開いていた目を、いっそう大きくして、じっとその下人の顔を見守った。まぶたの赤くなった、肉食鳥のような、鋭い目で見たのである。それからしわで、ほとんど、鼻と一つになった唇を、何か物で噛んでいるように動かした。細いのどで、とがったのどぼとけの動いているのが見える。そのとき、そののどから、烏の啼くような声が、あえぎあえぎ、下人の耳へ伝わってきた。


「この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、かずらにしようと思うたのじゃ。」


下人は、老婆の答えが存外、平凡なのに失望した。そうして失望する同時に、また前の憎悪が、冷ややかな侮蔑と一緒に、心の中へ入ってきた。すると、その景色が、先方へ通じたのであろう。老婆は、片手に、まだ死骸の頭から奪った長い抜け毛を持ったなり、ひきのつぶやくように声で、口ごもりながら、こんなことを言った。


「なるほど、死人の髪の毛を抜くということは、なんぽう悪いことかも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、みなその位なことを、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸ばかりずつ切って干したのを、干魚だというて、太刀帯の陣へ売りにいんだわ。疫病みにかかって死ななんだから、今でも売りにいんでいたことであろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいというて、太刀帯どもが、欠かさず菜料に買っていたそうな.わしは、この女のしたことが悪いとは思うていぬ。せねば、飢死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば今また、わしのしていたことも悪いこととは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、飢死をするじゃて仕方なくすることじゃわいの。じゃた、その仕方がないことを、よく知っていたこの女は、大方わしのすることも大目に見てくれであろ。」


(つづく)

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只看该作者 5楼 发表于: 2004-12-16
羅生門 連載 No.6(終わり)

老婆は、大体こんな意味のことを言った。


下人は、太刀を鞘に収めて、その太刀の柄を左の手で押さえながら、冷然として、この話を聞いていた。もちろん、右の手では、赤く頬にうみを持った大きなにきびを気にしながら、聞いているのである。しかし、これを聞いているうちに、下人の心にはある勇気が生まれてきた。それは、さっきも門の下で、この男にかけていた勇気である。そうして、またさっきこの門の上へ上がって、この老婆を捕らえたときの勇気とは、全然、反対な方向に動こうとする勇気である。下人は、飢え死にをするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。そのときのこの男の心持から言えば、飢え死になどと言うことは、ほとんど、考えことさえできないほど、意識の外に追い出されていた。


「きっと、そうか。」


老婆の話が終わると、下人は嘲るような声で念を押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手をにきびから離して、老婆の襟上をつかみながら、噛み付くように言った。


「では、おれがひはぎをしようと恨むまい。おれもそうしなければ、飢死にをするからだのだ。」


下人は、すばやく、老婆の着物を剥ぎ取った。それから、足にしがみつこうとる老婆を、手あわく*************死骸の上へ倒した。はしごの口までは、わずかに五歩を数えるばかりである。下人は、剥ぎ取った桧皮色の着物を脇に抱えて、瞬く間に急なはしごを夜の底へ駆け下りた。


しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その裸のからだをおこしたのは、それからまもなくのことである。老婆は、つぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、はしごの口まで、這って行った。そうして、底から、短いし柄をさかさまにして、門の下を覗き込んだ。外には、ただ、黒とうとうたる夜があるばかりである。


下人の行方は、誰も知らない。


(終わり)

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只看该作者 6楼 发表于: 2004-12-16

闲着无聊打发时间自己打的,原来是写在了我的blog里~呵呵...
难免有错误,请指正~谢谢

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強がることに疲れたの
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离线水晶粽子
只看该作者 7楼 发表于: 2004-12-18

大学三年生の時一度読んだことあるけど、今はもうこれなんか物を読む気持ちがなくなちゃー

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