「今月16、17日前後に南関東で大きな地震がある」との民間研究者の予測が波紋を広げている。12日には山梨県でこの予測を受けた討論会が開かれ、大学の研究者らが電波を使った地震予測の現状などを議論した。
予測を発表したのはFM放送の電波を使い地震の前兆をとらえる研究をしている串田嘉男・八ケ岳南麓天文台長。討論会は元東大学長の有馬朗人参院議員らが呼びかけ、約130人が参加した。
串田台長は流星観測のためFM放送の電波を受信していたところ、阪神大震災の直前に、通常と違う電波の変動を観測した。地震が近づくと震源域上空の電離層に変化が生じ、通常は受信できない遠くの局の電波が反射されて変動が生じたと考え観測を続けてきた。
その結果、前兆とみられる電波の変動は、徐々に強まった後、再び弱まって変動がない時期を経て地震発生というパターンが多かった。
今回の予測は「今月16~17日を中心とした前後2日の間に、南関東圏でM7・2前後の地震が起きる可能性がある」というもの。可能性が高い順に(1)この本震の後、10月31日の前後3日にM6・5前後の余震が起きる(2)9月には起きず、10月末以降にM7・2前後以上の地震が起きる(3)有感地震としては観測されない「ゆっくり地震」などが起きる――とした。
串田台長は「今回は新たなパターンの変動のため、発生しない可能性もあるが、もしもの場合に備えてもらえればと思い公表を決断した」と説明する。
討論会では、予知の信用性の議論にはならなかった。電波や地磁気などで前兆を観測中の大学のデータなどには異常がないと報告されたが、これらで異常が出るのは地震の2~3日前だという。
東海地震の予知を目指す地震防災対策強化地域判定会の溝上恵会長は「予知というなら、科学的根拠を示し、地震を起こす断層を特定したうえで公表すべきだ。串田さんの場合、前提となる科学的根拠が明らかでなく何とも言えない」と話す。溝上会長は討論会に参加しなかった。
串田台長は独学で天文学を学び、85年に私設の天文台を開設した。【鯨岡秀紀、河内敏康】(毎日新聞)
[9月12日23時19分更新]
本当であるかろう、嘘かろうこわいね。