無花の木さん、言おうと言い切れないよ。日本人の女が書いた文を読んで、何となくやさしい感じがする。常に敬語を使い、終助詞の使いも気をつけている。たとえば、「な」という終助詞の場合で、以下は引用の内容である。
な
(一)(終助)
文末にあって、活用語の終止形や助詞(古くは体言にも)に接続する。
(1)感動や詠嘆の意を表す。
「ずいぶん立派になった―」「かれぞこの常陸守の婿の少将―/源氏(東屋)」「花の色は移りにけり―/古今(春下)」
(2)軽い主張や断定、また念を押す意を表す。
「あやまるなんて、いやだ―」「確かなことだと思う―」「あべの大臣、火ねずみの皮衣もていましてかぐや姫に住み給ふと―/竹取」
(3)同意を求め、また、相手の返答を誘う意を表す。
「以前お会いしました―」「本の代金いくらだか覚えていないか―」
(4)「…ないかな」「…といいな」「…と思うがな」などの形で、軽い願望の意を表す。
「だれか来ないか―」「早く来るといい―」「いいと思うが―」
(5)「…(て)ください」「…なさい」などに付いて、依頼・勧告の意を表す。
「早く起きてください―」「勉強なさい―」
(二)(間投助)
文節末に付いて、相手に言い聞かせるような気持ちを添える。
「あの―、いいことを教えてやろう」「それから―、二軒ほど立ち寄っただけだよ」「鯉を求めてくれいと―仰せられてござる/狂言・鱸庖丁(虎寛本)」