理 由
第1 事案の概要
1 原審が確定した事実関係等は,次のとおりである。
(1) C株式会社は,中小企業等への金員の貸付けを業とする平成13年(受)第1032号上告人・同第1033号被上告人(以下「1審被告」という。)との間で,平成5年6月11日付けの手形貸付取引約定及び同月14日付けの基本取引約定により,次の内容の継続的貸付契約(以下「本件貸付契約」という。)を締結した。
ア 元本極度額 3000万円
イ 特約 C株式会社振出しの手形が不渡りとなったときは,C株式会社は,1審被告に対する一切の債務について当然に期限の利益を喪失する。
(2) 平成13年(受)第1032号被上告人・同第1033号上告人A(以下「1審原告A」という。)は平成9年8月5日,同B(以下「1審原告B」という。)は平成6年6月21日,1審被告に対し,C株式会社の1審被告に対する本件貸付契約に基づく債務について,それぞれ400万円の限度で連帯保証した。
(3) 1審被告は,本件貸付契約に基づき,C株式会社に対し,平成5年6月11日から平成10年3月24日までの間,手形貸付けの方法で,第1審判決別紙1記載のとおり,利息制限法(以下「法」という。)1条1項所定の制限利率を超える利率で反復継続して金員を貸し付け,返済を受けた(以下,上記一連の取引を「本件取引」という。)。
なお,同別紙に記載した「借入日」の「返済額」には,貸付額から天引きされた同別紙記載の1審被告に対する利息,調査料及び取立料とD信用保証株式会社に対する保証料及び事務手数料(以下「保証料等」という。)との合計額が計上されている。
(4) 1審被告の受ける調査料及び取立料は,法3条所定のみなし利息に当たる(以下,利息とみなし利息を合わせて「利息等」という。)。
(5) 平成10年3月末,C株式会社振出しの手形が不渡りとなった。
(6) 1審原告Aは,1審被告に対し,上記連帯保証債務の履行として,平成10年4月9日及び同月17日に各200万円を支払った。
(7) 1審原告Bは,1審被告に対し,上記連帯保証債務の履行として,平成10年4月10日,同月14日,同月23日及び同月28日に各50万円,同年5月7日に200万円を支払った。
(8) D信用保証株式会社は,1審被告の貸付金取引の借主に対する信用保証を行うために,1審被告が100%出資して平成3年5月に設立した子会社であり,D信用保証株式会社の利益は,最終的には1審被告に帰属するということができる。D信用保証株式会社は,1審被告の貸付けに限って保証しており,1審被告から手形貸付けを受ける場合,D信用保証株式会社の保証を付けることが条件とされている。D信用保証株式会社の受ける保証料等の割合は銀行等の系列信用保証会社の受ける保証料等の割合に比べて非常に高く,D信用保証株式会社の設立後,1審被告は貸付利率の引下げ等を行ったが,D信用保証株式会社の受ける保証料等の割合と1審被告の受ける利息等の割合との合計はD信用保証株式会社を設立する以前に1審被告が受けていた利息等の割合とほぼ同程度であった。D信用保証株式会社は,1審被告の借主との間の保証委託契約の締結業務及び保証料徴収業務を1審被告に委託しており,信用調査業務についても1審被告に任せ,保証の可否の決定業務をも事実上1審被告に委託していた。また,信用保証会社が貸付金取引の借主の債務を保証する主たる目的は,借主が返済を怠った場合,信用保証会社が貸主に対して代位弁済を行い,借主に対して求償金の回収業務を行うことにあるにもかかわらず,D信用保証株式会社については,債権回収業務も1審被告が相当程度代行していた。D信用保証株式会社は,その組織自体がこのような各業務を自ら行う体制にはなっていなかった。