NHKは29日、大みそかの第55回紅白歌合戦の出場者選考のために実施した世論調査の結果について、男女上位15位までの名前を初めて公表した。昨年出場した歌手が紅白30組中21組を占め、常連組が“圧勝”した形。白組1位は氷川きよし(27)、紅組は天童よしみ(50)がトップだった。一連の不祥事を受け、透明性を高めるための「改革」の一環として公表。出演交渉はこれから行われるが、世論が望んだ顔ぶれは、おなじみさんだった。
やっぱり、大みそかはいつもの顔ぶれと歌声で年越ししたい-。そんな茶の間の声が聞こえてくるような、世論調査結果だった。白組1位の氷川は昨年まで4年連続出場し、今年も出場すれば5年連続5回目。紅組1位の天童も出場すれば8年連続9回目になる。
以下も毎年のように紅白の舞台を彩ってきた連続出場組がずらりそろった。今年も出場した場合、SMAPは2年連続13回目、北島三郎は18年連続、五木ひろしは34年連続、森進一が37年連続、細川たかしが30年連続、小林幸子は26年連続、石川さゆりは21年連続になる。昨年の出場者は30組中21組もあり、実に70%を占め、過去の出場経験者となると83%まで跳ね上がる。紅白の顔たちへの高い支持が浮き彫りになった。
一方で宇多田ヒカル、柴咲コウ、ORANGE RANGEら出場経験のないポップス系5組もランクイン。NHKは調査結果を受け「世代もジャンルも幅広い」とバランスの良さを強調した。
調査結果はこれまでも実施していたが、7月に発覚した元チーフプロデューサーの制作費着服事件の舞台が紅白歌合戦に及んだことから、選考の透明性を高めるために初公表に踏み切った。上位の顔ぶれ次第では、出演拒否する歌手が続出して世論が反映されない可能性もあっただけに、結果が注目されていた。
今年は男女それぞれ約30組が出場予定。NHKは上位各15組については、来週にも出演交渉を行う方針で、上位から漏れた歌手らについては「今年の活躍や企画内容に基づいて選考したい」とし、11月下旬に全出場者が発表される。今年の紅白のテーマは「愛・感動・希望の歌を」だが、少なくとも世の中の「希望の歌」は満足させられそうだ。