第1クール |
第1回 |
学習テーマ |
【自分の強みの認識】 |
解説
【販売不振と人件費過多のダブルパンチ】
10年以上勤めた印刷会社を退職し、培った営業スキルを武器に起業を決意した台所広司さん(35歳・仮名)。徹底調査のうえで選んだ住宅リフォームビジネスだったが、開業 1年を経ても業績が良くならず、会社の存続自体が危険な状態に陥っている。
台所さんの経営不振の要因は、自ら「なぜ注文が伸びないのか」と悩んでいるように、販売の不振にある。単純に受注件数が不足しているのだ。加えて、仕事が少ないのに、施工管理のための人員(友人)を社員として抱えているから、固定費も高く、入ってくるお金と出ていくお金のバランスが悪化していることも想像に難くない。
それなら社員を思い切って解雇したらどうか? それは無理な相談である。元々が友人関係だし、それ以上に、この友人が持つ業界知識と経験を頼って起こした会社だからだ。
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【古くて新しい格言=好きこそものの上手なれ】
さらに言えば、台所さんは、市場の成長性に興味を持ったのであって、市場そのものに関心があったとは思えない。住宅が好き、水回りが好き、工事が好き、主婦と話すのが好き……などのニュアンスは彼のどこからも感じられない。「好きこそものの上手なれ」という言葉がある。彼は、まさにその逆をいくパターンだ。
勤務時代は、その仕事が好きでも、好きでなくても、ミッションとしてやり遂げなければならないという意識で頑張れるものだが、独立して自分にすべての意思決定が委ねられると、好きではないことのためには、そうそう頑張れなくなるものだ。人間は正直である。
彼の業績不振の根本的な理由は、市場の成長性のみを見て、その仕事を「自分ができるのか」や、その仕事を「自分はやりたいのか」という問い掛けを忘れてしまったことにある。大企業が資力と人材を投入して新規事業を開始するのであれば、優先順位の一位は市場の成長力に決まっている。しかし、個人が独立して事業を立ち上げる時は、市場の成長性と並んで、いや、むしろそれ以上に、市場と自らの能力や志向との相性が重要になる。
詳しい内容は以下でご覧ください。
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