世界で成功した投資家の話ですので、参考になるかもしれないと思うからです。ただ、本を読んだ知識程度なので核心を付く所まで分析できるかどうか?疑問もありますが、あえて面白いテーマなので挑戦してみます。一回目に選んだのがあの有名な投資家ジョージ・ソロスです。イングランド銀行を負かした男との風評があります。
日本でも彼の書いた本がたくさん発行されています。古くは「相場の心を読む」(講談社)最近では「ソロスの資本主義改革論」(日本経済新聞社)などがあります。何冊か読みましたが書いている事は難しく分かり辛く感じました。
まず、彼の生い立ちを簡単に述べましょう。彼は1930年にハンガリーのブタペストで割と裕福なユダヤ人の一家に生まれました。ブタペストがナチスの占領下になった1944年、ソロスは隠れ家から隠れ家への逃亡生活を強いられ難を逃れます。戦後、イギリスに渡り経済学を学び1952年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを卒業し、英国企業を渡り歩き、株式の裁定取引を担当しトレーディングをしていました。その後1956年にアメリカに渡り、当時の人気商品であるヨーロッパの証券をアメリカで販売する仕事をしていたようです。最初の証券会社はF・M・メイヤー、ワイルトハイム・カンパニーなど…いくつかの証券会社で働いたようです。
1963年ソロスはアーンホールド・S・ブライヒローダー社で証券アナリストの職を得ました。そうして1969年に「ダブルイーグル」の運用を任せられます。この頃、わが国でも昨年登場した不動産投資信託(リート)の魅力を紹介したリポートを書いています。「この新しい商品の着想は素晴らしく、相当な人気を呼ぶだろうが、やがて行き過ぎて暴落するだろう」と予想し、見事に的中させています。同時に独立を決意し、39歳のソロスはジム・ロジャーズと組んで大成功を収めるクオンタム・ファンドをスタートさせています。
その後の活躍は皆さんもご存知でしょう。最近は慈善活動を主たる業務としており、運用の第一線からは引退しています。
彼の生い立ちの中で最も注目されるのは、14歳の時に逃亡生活を強いられた事です。感情豊かな年頃です。この経験が投資活動に深く関わっている事は容易に想像つきます。そうして成功を収めた今日、積極的な慈善活動をしているのは、この時期の環境によるものでしょう。
投資活動を探る上で、その人の生活環境は非常に影響されます。何故なら、投資は精神力の戦いが深く関与するからです。多くの人は一度や二度、幸運に恵まれる事はありますが、続けることは至難の業です。
彼の最も基本的な理論「再帰理論」(反射理論)に付いて考えてみます。
この考え方は「認識が物事を変化させるのと同時に、物事が認識を動かす」と言う現象があるということです。俗にフィードバックと呼ばれる働きです。この考え方は良く相場に見られるのです。株式の動きを見ているとあるトレンド(傾向)が見られますね。ある方向に進むとしばらくそのトレンドは継続する。上げ相場になると、その傾向はある期間は継続する現象です。勿論、下げ相場でも同じです。このトレンド現象を説明したのが「再帰理論」です。