CDから流れてくるギターの音色は、あたかも数人で弾いているかのようだったが、実際の弾いているのは一人だけだった。そのギタリストは、さも簡単そうに左右の指を自由自在に動かしているのだが本当はととも大変なことに違いない。一本一本の指は自分の思いどおりに動いてくれないものだからだ。
ふつう小指は力も弱いし、小指を曲げようとすると薬指も一緒に動いてしまう。それは小指の神経と薬指の神経が、まるで一本の神経のようにしっかりくっていているからである。そのため、薬指はどうしても小指に出された命令の影響を受けてしまう。だが、そんな薬指も、力の弱い小指も、訓練しだいで強くなり、自由に動かせるようになるという。
また、指が短い人にとって、ギターという楽器はいかにも難しそうだが、実はそうでもない、指の長さより指がそれだけ聞くかということのほうが大切だからだ。訓練すれば指も聞くようになる。指の聞きも訓練しだいで解決できる。
楽器もスポーツや語学と同じで、要は日日の訓練が重要なのである。