yamoli66 |
2012-06-21 23:06 |
『東京タワー』の翻訳(280)
Ⅸ(25)
地上から戻って来たウサギに月に聞いた。 「人間たちにちゃんと伝えて来たか?」 「はい。人間たちはいつか死ぬのだと教えてやりました」 それを聞いた月は怒ってウサギに言った。 「バカもの!ちゃんと話を聞いていなかったのか!!あべこべのことを伝えてきおって!!」 月は手にしていた杖をウサギに投げつけた。その杖はウサギの口先に当たり、ウサギはあまりの痛さに月を尖った爪でひっかいた。 それから、ウサギの口は割れるようになり、月には黒点ができ、人間は生きかえることが出来中唸ったのだという話。 「この写真の頃は新聞社に勤めよったんやろ?」 「おじさんちゃんが死んだばっかりでのぉ。お父さんはそれがこたえてから抜け殻みたいになっとった。東京から呼び戻されてから、おじちゃんの知り合いのコネで会社に入れてもろうたんやが、そのごろやろうなぁ、お母さんに会うたんは……。結婚した頃はふたりでよう飲みよったよ。家でふたりで二升飲みよった」 「すごいね」 「それからお父さんはお母さん置いて外に飲みに行きよったけんのぉ」 「仲良かったんやね」 「お母さんがな、毎日昼休みになったら電車に乗ってから会社に弁当届けに来よったったい。朝作って持たせたら弁当が冷めるっちいうて、作りたてを持って来よった」 「オカンらしいわ……」 「お父さんはそれが好かんでのぉ。会社の同僚やらが、奥さんが来てますようちいうて冷やかすたい。それが恥ずかしいでから、いっつも来るなって言いよった」 「なんでそんなん子供なん!?いいやないか!かわいそうなことをしてから」 オカンのために借りた家で、ボクとオトンがふたりきりでいる。そして今まで聞いたことのなかったオカンとオトンの夫婦の話。江戸川乱歩の小説の終盤、明智小五郎が次々と秘められた謎を解き明かしてゆくようにオトンの話を聞きながら、ボクの知らない話が点になり、線でつながってゆく。 兔子从地球上返回到月亮上,而月亮反问兔子: “都正式传达给人们才正式回来的吗?” “是的,我教给他们人什么时候可以死。” 听了这个话之后,月亮发怒对兔子说: “真是混蛋!正相反没有听我的话!!请把正确的顺序给我传达好!” 月亮把手中的拐杖投向兔子。那拐杖击中了兔子的口,兔子相当地痛,用尖爪子抓住月亮。 从这之后,兔子的嘴就裂开着,在月亮上就有了黑斑,人们也就不能再重生了。 “拍这张照片的时候,是在报社工作吗?” “你爷爷刚去世的时候,父亲回来后正在失神发呆的时候。从东京被叫回来后利用爷爷的人际关系去了公司,在那个时候认识了你妈妈。结婚的时候两人使劲喝,在家两人可以喝两升。” “真是太厉害了。” “从那之后,父亲就把母亲搁在家里,自己就到外面去喝了。” “两人关系不好了吗?” “妈妈每天午休的时候乘电车到公司来给我送饭。如果早上做好带到公司去的话,就会变凉,所以母亲要现做再送去。” “这真是像母亲的样子。” “可父亲并不喜欢那样做。在公司的同事,当夫人送东西来之后就相互变得冷淡。这是非常耻辱的,因为经常来所以就这么说。” “竟然是那样的小孩子!做这样的可爱的事情。” 在为母亲所租的房子里,只有我和父亲两人。而且所讲的母亲和父亲的事是至今还未听说过的。就像江户川乱步的小说的结尾,明智小五郎一个个地解开了谜底,一边听着父亲的讲述,我所不明白的地方成为一点一点逐渐连成了线。 |
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