yamoli66 |
2012-06-21 23:04 |
『東京タワー』の翻訳(279)
Ⅸ(24) 「お母さんは、月が欠けとる時に死んだのう。人は満月の時に生まれて、三日月に死ぬちいうからのぉ……」 初七日までは線香を絶やさんごとおってやろうと、オトンはあれから毎日、朝早く起きてろうそくを灯し、線香の煙が途切れぬようにしている。そして、何度もオカンの死んだ日の月のかたちについて口にした。 藤川の作ってくれたポスターは赤ちゃんのボクを抱いたオカンが、小倉の家の玄関の前で微笑んでいる写真。そのモノクロ写真に「LUNAR DESTINY(月が決めた運命)とタイトルがデザインされた。それを印刷屋さんがb倍サイズに刷り出してくれた。壁に大きく貼られたそのポスターを指差して、ボクはオトンに言った。 「この写真撮ったのは、オトン?」「そうやろうなぁ。小倉の家の前やろう」 「この後、オトンが玄関を足で蹴り破っとるんよ。この時はまだ前の玄関やけど」「そんなことがあったかのう。もう、昔のことはどんどん忘れてしまいよる……」 ボクはオトンに聞いてみることにした。「この、オカンが抱いとる赤ちゃんはオレ?」 「そりゃそうやろう。他に誰がおるんか。まだ、オマエが生まれたばっかりの頃や」縁側で住処が三倍に広がったパンが飛び跳ねている。 「ウサギの心配ばっかりしよったけど、自分の方が先に死んでしもうた……」月の本で読んだことがある。月にウサギがすんでいるという話は日本だけのものではないらしい。 不思議なもので、インドにも、アフリカにも、月に住んでいるウサギに関する寓話が残されている。アフリカで放されている月とウサギの話。月に仕えていたウサギはある時、地上へ伝令するよう仰せつかる。 「人間が死ぬことを恐れている。地上に降りと、人間たちにこう言いなさい。死ぬことを恐れなくていい。もうおまえたちは死ぬことはない。死んでも生き返る。永遠にいき続けるのだと。言ってやりなさい」しかし、ウサギは失敗をする。 “你妈妈,在月未满的时候死去了。人在满月的时候出生,在新月牙的日子死亡。”在头七日是不能让线香断火的。父亲从那天开始每天早上早起点蜡烛,不让线香的火断掉。 而且不停地在嘴里说有关母亲去世的日和月。由藤川制作的画是根据母亲抱着幼儿时的我在小仓家的大门前微笑的照片画的。在那黑白照片中的标题是:月决定的命运。印刷这照片的人是扩大了B倍印刷出来的。 我指着贴在墙壁上的画问父亲:“这张照片是父亲拍的吗?” “好像是,是在小仓家门前拍的。”“在这之后,是不是用脚踢破了门。这个时候还是以前完好大门吧。” “会有那样的事情吗?过去的事情慢慢地全部忘掉了。”我开始试问起父亲过去的事情。 “母亲所抱的这个孩子是我吗?”“当然了,当然了。除你之外还会有谁呀?而且是你刚出生的时候。” 在走廊居住的兔子的活动面积扩大了三倍,它在跳跃着。“虽然一直在为兔子操心,但她自己却先死去了。” 曾读过有关月亮的书。兔子在月亮上住着。这样的传说并不仅仅在日本有。真是不可思议,在印度、在非洲,小兔子住在月亮上的寓言都有。 在非洲有关月亮和兔子的寓言是这样的。在月亮上当官的兔子有时候向地上传达命令。“人们在害怕死。请你降落到地球上向那里的人们这样说:对死不要害怕,本来你们并不会死的,即便死去也可以回生的。可以永远地生存下去。就这样说。” 但是,兔子失败了。 |
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