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yamoli66 2012-06-08 21:18

『東京タワー』の翻訳(271)


Ⅸ(16)

  「その頃の東京はまだ人情があったもんよ。学生さんやっちゅうだけで、飯屋の人が一品多く付けてくれたり、ただで一杯飲ましてくれたりもんや。出世払いでち言うての」
「今でも、そういう所はあるよ。ボクも御飯屋さんの人たちにお世話になっとる」
「そうか……。しかしまぁ、しばらく見らんうちに、すっかり街の様子も変わっとるのう。こげんたくさん建物もなかったし、のんびりしとる街やったよ。鶏を庭で放し飼いしとる家が多かった。お父さんの下宿の近所にも鶏を飼うとる家があってのぉ。その前を通るたんびに、そこの鶏の頭を撫でてやりよった。そげしてやりよううちに、お父さんが行っても、コーともコケーとも鳴かんようになる」
「オトンは、動物は好かんのやろ?」
「それで、鳴かんようになった頃に、捕まえてから、メシて食うんよ」
いい話かと思って聞いていた。昔から相変わらずだ。ボクは生まれる前から、胸がすくほどに相変わらずなんだ。
そんな話の横でリビングに放していたウサギのパンが、オカンの遺体の前でずっとその姿を働かさずに見上げている。
ノブエおばちゃんがその様子を見ながら言った。
「わかるんやろうかね?わかるんやろうねぇ。お母さんにいつもかわいがってもらいよったんやろうけんねぇ」
えみ子おばちゃんがそれを聞いてまた泣き出した。そして、ノブエおばちゃんはボクに向かって正座して涙目の笑顔で言う。
「マーくん、御苦労様やったね……。お母さんも喜んどったと思うよ。東京に行くて言い出した時は、あたしらも、年取ってからなんもわからん、知っとる人もおらん所に行っても大変やろうし、行きなさんなって言うたんよ。でも、お母さんは、行くって言うね。そやけど良かった。あんたと一緒に暮らせて、最後はあんたと一緒におれて、お母さんは幸せやったろ……。ありがとうね」
でも、本当にそうだったのだろうか。オカンの幸せについて考えると、ボクは今でもそれに自信がない。


“那时的东京很有人情味。那时侯因为是穷学生,饭铺的人都要多给一些,当然也就只是一杯,还说什么出人头地的。”
“到现在,那种地方还是有的。我也被那些饭铺的人照顾过。”
“真的吗?但是就像是刚刚过去似的,现在却全都是大街模样了。没有这么多的建筑物,都是无拘束的街道。在院子里放养鸡的人家有很多。我所住的平民区也有放养鸡的人家。每当从那里经过时都可以用手抚弄鸡头。如果那样正做着的时候,鸡就会鸣叫起来。”
“父亲很喜欢动物吧。”
“那个,在鸣叫的时候,就会捕捉住,然后勒死吃掉。”
这样边听着边想着好故事。自古到现在还是那样照旧不变。自从我出生之前,肚子还一直是空着没有改变。
在这样讲话的旁边散放着的小兔,它在母亲遗体前面一动不动抬头望着。    
ノブエ姨看着那个样子说:
“明白了吗?明白了呀!你一直受到妈妈那样无微不至的关怀。
えみ子姨听着那些又哭了出来。然后她面向我正坐着带着眼泪笑着对我说:
“孩子,辛苦你了,妈妈也会很高兴了。在妈妈说出要去东京的时候,我们年纪大了的人也都不明白什么,去那没有认识的人的地方会很麻烦的,劝说她不去。可是你妈妈还是说了要去,这确实不错。和你在一起生活,最后和你住在一起,妈妈是多么幸福啊!太感谢你了。”
可是,真的是那样吗?想一想母亲的有关幸福,我到现在也没有那么自信。

yamoli66 2012-06-08 21:20
在母亲棺材旁边围坐着守夜,父亲回忆着他年轻上学时东京的生活。


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