yamoli66 |
2012-05-09 20:06 |
『東京タワー』の翻訳(251)
Ⅷ(28)
「おなかにね……水が溜まりだしたら、もういけんの……。京一も、そうやったけん……」 「大丈夫や。そげ言うほど溜まっとりゃあせん……」 えのもと、ホセ、ツヨシ、bjが偶然、みんな同じ時間に集まった。近所のそうざい店で弁当やおかずを買って、オカンのベッドの周りを囲むように座って御飯を食べた。 「オカン、笹塚で飯食いよるみたいやね」 オカンは笑って、それを見ていた。本当は自分が拵えたものを食べさせたかったに違いない。 オトンもなにも言わずに毎日、朝からボクが交代に来るまで病室にいる。「開運!なんでも鑑定団」の放送がある時だけは、毎週欠かさず観ているからという理由で早く帰ったけれど、それ以外の日はずっと、病院にいた。 痛みをひどく訴える時には点滴の中にモルヒネを入れられた。そして、日が経つほどに、その回数は増えていった。 その日の夜は、オカンはいつになくよく喋っていた。ボクはらくのみに入れたお茶を飲ませながら、一緒に喋った。 「オカン、新しい家はキッチンも広いけん、なんぼでも好きなもんが作れるよ。オカンの部屋はね、三階にある和室やけん。一階の土間には柵で囲んだら、パンもよか運動になるくらい飛び跳ねるごとあるよ」 「そうね。楽しみや、ね……」 「早よ元気になって笹塚に帰ってから、一緒に引越しの準備しょ。今度の家は静かな所やけん、ゆっくり眠れるよ。家具とかも欲しいもんがあったら買うたらええ。5LDKよ、オカン。広いで掃除は大変やろうけど、もう、誰が来ても恥ずかしゅうないよ。誰にも気兼ねせんでええ。オカンの家なんやから」 「そうね……。ありがとうね……」 氷を取りに洗面室に行くと、小さな窓からオレンジ色に輝く東京タワーが見えた。タオルを洗いながら見えるその光は、いつもよりか近くに見えた。 「オカン、今度、東京タワーの展望台に行くっち、約束しとったやろ。行かんといけんね。オレもまだ上に昇ったことないんよ。オカンもなかろうが?」 「あたしは、あるよ……」 「うそや。いつ、行ったん?」 「東京タワーは……、もう何回も昇った……。五回も、六回も上に行ったことがある……」 現実的に、そんなはずはなかったと思う。その時も幻覚に惑わされていたのだろうか? “在肚子里若开始积水的话,就已经快不行了。……京一也是这样的。” “没那么严重吧。还没积存那么多水。” えのもと、ホセ、ツヨシ和bj等各位偶然在同一时间来到这里。在附近的副食店购买了盒饭和一些菜,他们围坐在母亲床的周围一起吃起了饭。 “母亲,就像在家吃饭那样。” 母亲笑了,看着那些人在吃饭。这当然不同于让他们吃自己所做的饭。 父亲也没什么可说的,就呆在病房。每天从早上开始一直坚持到我过来。也只有电视在播放《开运,什么都可以鉴定团》这个节目时,每周都不丢场次地观看,除用这个理由早回去一点之外,其他的时间一直在医院。 当说疼痛加剧的时候就往点滴瓶里增加吗啡。而且,随着时间其增加的次数也就增加。 其中有一天晚上,母亲终于开始使劲聊起来。我一边喝着茶,一起聊起来。 “母亲,新家的厨房很宽广,别管是多么喜欢的东西那里都能做。母亲的房间是在三层的一间日式房子。在一层有露土的地方用栅栏围了起来,小兔子也可以自由运动跳跃了。” “是那样吗?那真是太好了。” “尽快恢复健康,回到世塚的家,我们一起准备搬家。这个新家也很安静,可以安心尽情地睡觉。喜欢什么家具或什么东西的话,就可以买。有五间房子呢,母亲,因为很宽敞所以打扫卫生就很辛苦了。谁再来也不觉得害羞,也不惹谁麻烦的,是母亲自己的家了。” “真是太好了。太感谢你了。” 取完冰,去了卫生间,透过那小窗户可以看到闪耀着桔黄色光线的东京塔。一边洗着毛巾,所看到的东京塔的光线看似比平时更近一些。 “母亲,现在约好了,这次我们要去东京塔的展望台。去还是不去呢?我可是还没有去过呢。母亲也还没有去过吧。” “我可是去过的。” “假话吧,什么时候,去过呢?” “东京塔……,我已经去过好多次了。有五次、六次去过了吧。” 我想在现实中是不可能的。在那个时候是不是也在幻觉迷惑之中? |
|