yamoli66 |
2012-04-08 20:37 |
『東京タワー』の翻訳(238)
Ⅷ(15)
「胃ガンです。それもスキレス性胃ガンと言いまして……」 医師が患者に面と向かって末期ガンを告知するというケースはどれくらいあるのだろう。少なくともこの医師は、この状況にはなれていないように映る。緊張して早口になり、厳しいことを知らせているにもことわらず、話し方は無機質で、一気にすべてをまくしたてた。 オカンはその間、消え入るような声で「はい……」「そうですか……」と相槌を打っていた。抗がん剤治療の話題になるとオカンは即答(そくとう)はせず、「少し考えてみます……」と残した。 告知が終わって病室へ戻るオカンの姿は無理からぬことだが明らかに落胆していた。スリッパの音がペタペタと力なく鳴っている。 「スキルスっていうたら、アナウンサーの逸見(いつみ)さんと同じガンやねぇ……」 それがどういった類のものかいろいろな情報が頭と心を巡っているようだった。それはボクと同じで、オカンにしてみても自分が思っていた以上に病状は悪いものだった。 あの告知を聞かされてすぐに抗がん剤治療に対して前向きになれというのも土台無理な話で、オカンはしばらく無口になり、表情にも憔悴が見てとれる。 もしボクが同じ状態に置かれたら、厳しく厭世的に振る舞い、自暴自棄に陥るだろう。落ち込んで静かになっているオカンだったが、その沈黙に自分で気付いた途端、少し笑って冗談めいたことを言った。 すごい人だな、とボクは思って胸が熱くなった。 その後、ボクとミッチャン、泰さんとオカンの四人で、今後の治療法について話し合った。 「きついやろうけど、してみらんことにはなんとも言えんのやから、抗がん剤治療をしてもらうことにしよ」 ボクはずっとその論調でオカンを説得する。 「可能性があることは全部やっていかんと。マーくんもあたしたちも一緒に頑張るんやけん、栄子ババも頑張ろう。それとね、ワクチンのことをいろいろ調べてみたんやけどね、丸山ワクチンとか、ハスミワクチンとか、実際に栄子ババと同じ状態になっとる人でも、ワクチンで完治したっていう話はたくさんあるらしいんよ。国とか病院とかが認めとる薬やないからねぇ。でも、こっちから買いに行ったもんを病院に持って行って、お医者さんに注射してもらうようにお願いすることはできるらしいけん。私が代わりに行ってから、相談して、処方してもらえるようにしてくれるけん。阿佐ヶ谷にハスミワクチンの診療所があるらしいんよ」 “是胃癌,而且是硬性胃癌。” 医生和患者面对面,他直接告诉母亲是癌晚期。这种场合以前大概没有吧,通过其讲话已经反映出来,至少这位医生还没有适应这种状况。紧张,说话又快,也不那么拘谨来讲这么严肃的事情。说话也很有特点地一口气全部讲完。 在这期间母亲用有气无力的声音搭着腔:“是的,是那样吗?知道了。”而讲到要用抗癌药话题时没有马上回答,而说:“这个我再考虑一下。” 说完之后向病房走去的母亲的身影很明显地沮丧着。拖鞋的声音吧嗒吧嗒也无力地声音小多了。 “如果真是硬性癌的话,和播音员逸见得了相同的癌。” 那到底是什么类型的东西呢?各种情报在自己的脑子和心中巡回着。这和我是相同的,这个病况比母亲她自己所想象的病状还要恶劣。 听完那个说明之后,马上积极用抗癌药治疗也不太现实,母亲沉默了一会儿,在表情上也表现出憔悴。 假如是我进入到这种状态,会有非常激烈地有厌世行动,沉陷到自暴自弃中。而母亲的心情非常沉静,当她注意到自己沉默的时候,就轻松地笑一笑讲起开玩笑的话来。 “真是了不起的人啊。”我这样想着,心口直发热。 之后,我、ミッチャン姨、泰和母亲四人一起,开始谈起后面的治疗方法。 “现在已经很严重了,但具体怎么做也还没有说法,我们就用抗癌症药治疗吧。” 我坚持用那种口气来说服母亲。 “不能说全部能实现,但儿子和我们一起来努力吧,荣子爸爸也一起努力吧。对这些疫苗做了很多的调查,丸山疫苗也好,ハスミ疫苗也好,实际上和荣子爸爸状态一样的人用疫苗治疗好的人大有人在。不同地方不同医院认可的药还没有,但是,从现在开始去买药把药带到医院来,请医生给注射。我替代到那里去诊断,也商谈过了,可以弄到药方。在阿左谷好像有疫苗的诊所。” |
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