yamoli66 |
2012-03-26 22:17 |
『東京タワー』の翻訳(232)
Ⅷ(9)
はぁ?なにをだし抜けに言い始めたのだ、このオッサンは?ボクとしても昔と比べたらば少しは薄くなってきてはいても、まるでハゲの悩みを共有する友人に朗報発表!とでも言わんばかりに、そう切り出してくるのである。 「まぁある程度長いこと使わんと効果も出らんのやけどよ、これがまた今、リアップが品薄でからのぉ。お父さんが周りの連中の分やらみんな手配してやって品物を押さえてやっとるんや」 いつになく饒舌に、ひとくさりリアップ効果について語り切ったところでひと息ついたオトンは、ようやくオカンの話、つまり、今回の上京の目的について話し始めた。 「医者はなんて言いよるんか?」 「もうすぐ検査の結果について話がある」 「まだ、相部屋におるんか?」 「そう。六人部屋」 「個室に移されたら、もうつまらんぞ」 「……。聞いたよ、それ」 本当にマイペースだ、この人は。マイペースという言葉に一片の曇りもなくマイペースな人である。 東京駅に着いたオトンを直接、赤羽橋の病院に連れて行く。久しぶりに会ったオトンはだいぶ老(ふ)けて見えた。リアップの話を聞いた後だけに頭髪に目がいく。言われて見れば全体的に薄くなって白髪も目立つ。とはいえ、オトンも六十六になる年齢なのだから、なにが抜けてもおかしくはないのだが、その方面の往生際は悪いらしい。 前に会った時にも見たことがあるジャンパーを着ていた。細かいチェックのジャンパー。着道楽のオトンが同じ服を着ているのを始めて見た気がした。 病室に着くと手鏡を持ったオカンがベッドの中で、髪を撫でつけているところだった。その日、オトンが来ると知っていたオカンは病人なりにめかしこんでいた様子で、うっすらと化粧している。 「おう。どうか?調子は?」 ベッド脇の丸椅子に腰掛けると、いつもと同じ台詞でオカンを見て笑った。 啊,让人冷不防,说出那样的话,是父亲吗?我和过去相比头发也确实变少了一点,这简直就像是向有秃头共同烦恼的友人报喜讯。即便是无话可说,但也不好说出那样的话。 “对那种状态,即便长期使用效果也不明显。到现在头发还是那样的少。父亲还不请周围伙伴都用上这些。” 和平时不同的饶舌,对秃头这件事说过一席话之后,才喘口气说上母亲的事,也就是开始说这次来东京的目的。 “医生都说了些什么?” “对刚刚的检查结果已经说过了。” “还在和别人同住一个房间。” “是,六人一房间。” “转移到一个人住房间,还不可以吗?” “……。知道了,马上。” 真是有自己的一套做法,这个人就是这样。对自己的做法毫不遮掩,真是个独特的人。 将到东京的父亲直接带到了赤羽桥医院。好长时间没见过面的父亲确实显得很老了。因为听说了秃头这样的话,所以就注意到头发了,就像说的那样全体都变稀了,白头发也很显眼了。尽管那样,父亲也是66岁的人了,脱发到什么程度也并不奇怪,在那种不好的状态真是难受。 还是穿着以前见面时曾穿过的夹克,细花纹格子的衬衫。一贯乐意讲究穿着的父亲还是穿着相同的衣服。这是第一次注意到。 到病房的时候,母亲手拿着小镜子在床上梳理着头发。那一天,母亲知道父亲要来,将病人模样打扮得漂漂亮亮,还有点小化妆。 “哎,怎么样,什么情况?” 坐到床旁边的圆椅子后,和平时一样的说法看着母亲笑起来。
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