yamoli66 |
2012-03-24 15:12 |
『東京タワー』の翻訳(230)
Ⅷ(7)
病院には毎日、誰かしらが見舞いに来てくれている。従姉妹の早苗、オカンの知人友人、bj夫妻、色々人々、特にミッチャンはほぼ毎日仕事終わりに寄ってくれて、ボクの代わりに病院の事務的なことまでしてくれていた。 その日、cdを持って病院に行くと、ホセが最近できたのだという彼女を連れて見舞いに来ていた。オカンは金色の紙でくるまれた、ウサギのかたちの大きなチョコレートを腹の上に置いて寝たままの姿勢で話している。 「ホセくんにもろうたんよ。かわいいねぇ」 「あんまり握りしめとったら溶けるばい」 「ホセくんはずっと彼女がおらんかったけんねぇ、あたしが今度、京王デパートで買うてきてやるち言いよったんやけど、よかったばいねぇ、かわいい彼女ができてから」 ふたりでバイクのヘルメットを持ったまま恥ずかしそうに聞いていた。 「十条きよしのcd買うてきたよ」 ボクの友達が持って来てくれた折り畳み式のcdプレーヤーにそれを入れようとしたけれど、オカンは「後からゆっくり聴こうかね」と言った。 枕元の棚に石原裕次郎と越路吹雪。オカンの二、三枚しか持っていないcdの隣に友達のミュージジャンがオカンの見舞いにプレゼントしてくれたcdが飾ってある。 "早く元気のになって下さい"とメッセージが手書きしてある新譜。このバンドのメンバーのほとんどはオカンの御飯を食べたことがある。その中でも、特によく遊びに来てはオカンと食事をしていたメンバーのtは雑誌のアンケートの中で"好きな食べ物"欄に"リリーさんのオカンのメシ"と答えていて、オカンにそれを見せるとものすごく喜んでいたものだった。 「オトンが、出て来るち言いよったよ」 「そうね……」 「それまでに散髪でもしとったらええ」 「外出はできんのよ」 「ここまで美容師さん連れてきてやる」 ボクはいつも自分が切ってもらっている大槻(おおつき)さんという美容師に相談をした。すると、大槻さんはふたつ返事で承諾(しょうだく)してくれて、「水さえ出る所ならどこでも行きますよ」と言ってくれた。 大槻さんの勤めている美容室で休日に老人ホームや各施設など、外に出ることのできない人たちのために出張のボランティアをしているらしく、外で切るのは慣れていますとのことだった。 在医院里,每天都会有人来探望母亲。表妹早苗、母亲的朋友、BJ夫妇、各种各样的人等。特别是ミッチャン几乎每一天都在下班后都到医院去,替代我做些医院事务性的事。 那一天,带着CD去医院,ホセ把最近弄到手的女朋友带到医院来探望。母亲把用金色纸包装的、有兔子形状大小的巧克力放到腹部躺着聊话来。 “ホセ把女朋友带来,真是好可爱呀!” “使劲捏一下的话,就会融化了吧。” “ホセ是不是早就有了女朋友了吧。你这一次在京王商场能买过来的,真是太好了。把这么可爱的女朋友弄到手了。” 两人手里拿着摩托车头盔害羞地听着。 “买来的中条CD光盘。” 本想把CD唱片放到朋友拿来的折叠式的CD唱机,母亲则说:“以后慢慢听吧。” 在床上放着石原裕次郎和岳麓吹雪的唱片。在母亲旁边只有两三张唱片的邻居的朋友音乐家来探望母亲时赠送的CD唱片,很使人增光。 “尽早恢复健康!”配上了写有这样祝词的新谱。这个乐队的成员几乎所有人都曾经吃过母亲做的饭。特别是经常来这里玩并和母亲一起做饭的队员T,在杂志的调查问卷 上“最想吃什么?”一栏中回答写有:“朋友的母亲所做的饭。”把这个答卷给母亲看后,母亲真是极其兴奋。 “母亲出院的时候要告诉我。” “好的。” “到那个时候要理发才好!” “那样出门是不好看的。” “就把理发师带到这里来如何。” 我和经常给我理发的大槻美容师商量。于是,大槻美容师有两件事给我承诺:“只要能有水的地方,去什么地方都可以。” 大槻所工作的美容室,在休息日,就派人到那些老人家庭或福利院等人们不能外出的地方,去那里去当志愿者,在美容室外面理发那是经常的事。 |
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