yamoli66 |
2012-03-18 20:11 |
『東京タワー』の翻訳(228)
Ⅷ(5)
実際に不動産屋を見て歩く時間がなく、インターネットで物件を検索する。仕事場と住居が完全に切り離れた時取りがいい。オカンが寝たきりになることを考えると、その部屋には物音が響かないように、陽当たり風通しも良好であってほしい。 めぼしい物件を見つけるたびに不動産屋に連絡を取り、夕方の空いた時間に内見をした。 仕事机に向かって黙黙(もくもく)と原稿を書く。その内容はどうやって人々を笑わせてやろうかというもので、その合間(あいま)に物件を見に出掛けては金は心配をし、賑やかで華(はな)やかな職場に行けば、自分なりに楽しげな振る舞いを見せ、消毒液臭い病院の廊下を歩いて、オカンの枕元に腰掛ける。時間に急き立てられながら、感情のバランスはちぐはぐで、どこかがいつもちりちりする。腰のあたりから喉のあたりまで、砂が詰まったような息苦しさで気持ちが滅入る。 夜、ひとりになってその感情と対峙することに耐えられず、毎晩飲み歩いた。煩(わずら)わしいこと、恐ろしいことから逃避(とうひ)するために、友だちを呼び集めて矢鱈と飲み続けた。 入院してしばらくの間、オカンは入院前よりも元気を取り戻していた。ボクが病棟に行くとベッドにはおらず、いつも談話室にある公衆電話でどこかに長電話していた。ボクはその姿を見つけるたび、背後からこっそり忍(しの)び寄って、肩を抱きながら脅かすと、毎回同じ驚き方をして笑った。 「元気そうやないね」 「あぁ、もう退屈やけんねぇ。ブーブおばちゃんに電話ばしよったったい」 「飯は、食べられるんかね?」 「だいぶ食べられるようになったばい。そやけどたくさんは入らん。どうも胃の辺りに引っかかるごとあってから。でも、なるべくね、食べ物で栄養とらんと体力が落ちるけん。あんた、プリンをとってやっとるけん、食べなさい」 病院の食事に付く、プリンやゼリーをいつもオカンは残してボクに食べなさいと言った。本当は柔らかいものしか胃を通らない身体なのだから、プリンのようなものの方が食べやすいはずなのに、それをわざと残してボクに食べさせようとする。 病院の味がするプリン。いつまでたっても子供はプリンが好きなのだと思っている。オカンもプリンが好きなくせに。 そして、ボクは財布の中に入っている仕事先で貰ったテレホンカードと、自販機で買った度数の大きいものとをオカンに渡していた。九州にかけることが多いようだ。何枚あってもすぐになくなるだろう。 ボクはそんなオカンの姿を眺めて、この病気も今までのように、また、治めるものだと信じていた。検査が終わって治療法が決まれば、時間はかかってもきっと大丈夫なのだろうと。 实际上找房产不用费时间走路,用网络就可以检索到房子。工作和居住能完全分开的布局就太好了。考虑到母亲起居的事情,希望对那个房间没有声音影响,若能朝阳、通风是最好的。 每当发现好的房子,就和房东取得联系,在傍晚有空的时间里私下去看。 坐在桌子旁边默默地做原稿。其内容怎样才能让人们发笑快乐起来呢?为此,利用空闲时间去找房子就开始操心钱,就要去热闹繁华的工作场景去寻找能让自己快乐起来的举动,在充满消毒液的医院的走廊里走东,坐在母亲的枕头上。在时间的急促逼迫之下,感情不能均衡了,在什么地方总是收缩起来。从腰向上到喉的周围就像堆了砂那样的难受,精神非常郁闷。 到了晚上就剩一个人的时候,承受不了与那种感情对峙,在每一天晚上走了一家又一家的酒馆不停地喝酒。为了从繁琐的事情和恐惧的事情里逃离出来,就招呼朋友来尽情地喝下去。 入院后不久,母亲比在入院前的精神恢复了好多。我每次去病房她都不在床上,而是在接待室用公用电话给谁打长途。我每看到其身影就从背后偷偷地走过去,抱着肩吓唬她。每次都是一样的动作笑起来。 “精神又好起来了。” “已经不那样厌烦了。想和ブーブ姨通话。” “饭吃得不错吧?” “已经能吃很多了,但还是吃不了多少。胃附近还是很不舒服。当然,能吃好营养跟上来体力也就恢复了。你去弄一点果冬,请吃一点。” 对医院的伙食,母亲总是剩下一点布丁和果冬,让我来吃。它的确是柔软的东西,对胃不舒服的身体来说,布丁这样的东西就很方便容易吃。母亲就故意留下来让我吃。 而且,我在钱包里放好的事先买的电话卡和在自助售货机买的度数高的东西都交给母亲。因为和九州有关的事好像很多,别管给多少张电话卡马上就会用完。 我看到母亲那样的身影,就确信这种病就像现在这样是可以治愈。检查结束后确定了治疗方案,随着时间进展肯定能治好。 |
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