yamoli66 |
2012-03-06 15:08 |
『東京タワー』の翻訳(219)
Ⅶ(35)
オカンが言うように、丁寧に話を聞くのだが、他に医療的なことをするでもない。薬を出しておくので一週間それを飲んで様子を見て、また来てくれというだけだった。 「いつも母はお世話になっております……」 という話からボクとオカンの関係がつながったようで、医師は思い出しながら言った。 「前に、お母さんがガンの手術をされた病院へ持って行ってもらう写真なんかは、この間、お母さんにお渡ししたんだけど……」 「で、どうなんでしょうか?」 「まぁ、そっちでちゃんと説明もあると思うけども……」 そう言いながら机の上にあったメモ用紙に胃袋の絵を描き、下半分のあたりを丸で囲んでその中を斜線で塗り潰した。 「もう、だいぶ大きくなってるねぇ」 その言葉、まるで我関せずといった口調で言った。びっくりするよねぇという程度の軽い表情で言った。 検査ではっきり判明してからはすぐに紹介状を出したのかもしれないが、それまであんたはなにをしてたんだと腸が煮えた。進行を止めることも切り取ることも専門外なのだとしても、もっと早くその状態を把握することはできなかったのか?あんたは年寄りの茶飲み友達か? その憤りをこの医師にぶつけることが筋違いなのかどうかわからないが、なにより、その淡々とした明るい表情と自分は無関係であるかのような、その態度に怒りが起きた。オカンはあんたのことを信頼してたんだぞ!?もっと早く発見する術はなかったのか?いつからあったんだ? そして、いつ大きくなったんだ? そして、あんたはいつ知ったんだ? オカンがいつものように炊事場の小さな蛍光灯に照られながら野菜の皮を剥(む)いている。里芋。ごぼう。人参。大根。御飯の炊ける匂い。割烹着を着て、首にスカーフを巻いている。残りもののおかず、冷や御飯にはラップが張ってある。オカンはいつもボクのいない昼間にそれを食べていた。 箸立てにはふたり暮らしとは思えないほどの箸がきらきらに立っている。 ボクの箸はオカンが巣鴨で買ってきた南天の箸。お店で「雅也(まさや)」と名前を彫ってもらっている。 魚の焼ける匂い。今日のぬか漬けはなんだろうか? 「今日は寒いねぇ。そやけん豚汁作ったよ。手洗うてから、早よたべんじゃい」 「……。オカンも一緒に食べり……」 「パンの水のうなっとるね。ホセ君に買って来てもらわんといけん」 就像母亲所说的那样,耐心地听医生所嘱咐的话,也并没有做其他的治疗。“领了药后喝一周左右看看其状态,然后请再来诊断。” “还总是要母亲来催着吗?” 说出这样的话把我和母亲联系起来,医生边想着边说了出来。 “以前,到母亲做癌手术的医院拿来了照片,这期间就给母亲吧。” “哎,这是怎么回事呢?” “啊,在那里正好有一点需要说明。” 一边这样说着,一边在桌子上的纸上画着胃示意图,下半部分是圆形的,在里面乱涂着斜线。 “这,大概是变大了吧。” 说那样的话,简直是用一点关系也没有的口气说了出来。最让人吃惊的是用那样轻率的无表情地说了出来。 检查给出详细结论后,会马上给出介绍信。到此不知你做了些什么,真让人很生气。是停止进行呢还是切除一部分,即便是门外汉,不能尽快掌握其具体办法吗?你就是老年的茶友了。 这医生竟那样的不讲理,实在让人愤怒。与其相比,其那淡淡地无所谓的表情,完全像是和自己没有关系那样,为其表现的态度而生气了。母亲能相信你所说的事情吗?没有能再提前发现这种情况的办法吗?从什么时候开始有的呢? 而且,什么时候变长大了呢? 而且,你什么时候知道的? 母亲和往常一样,在厨房小灯管的照射下择着蔬菜,蔬菜有芋、牛蒡、红萝卜、大萝卜等,饭的香味飘散着。身上穿着围裙、脑袋上裹着围巾,在剩下的菜和凉饭上盖有保鲜膜。母亲总是在我不在天还没有黑时吃掉这些的。 理所当然,在筷子笼里面刚好放有两人生活用的筷子。 我的筷子是母亲在巢鸭买来的南天产的筷子。在那店里面在筷子上面刻上了“雅也”这个名字。 鱼散发着香味。那么今天的腌菜又如何呢? “今天天冷,所以做了猪肉汤,洗过手后赶快吃饭吧。” “……,母亲也一起吃吧。” “兔子面包缺水了,不能再让ホセ来买了。”
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