yamoli66 |
2012-03-01 07:08 |
『東京タワー』の翻訳(215)
Ⅶ(31)
オカンが東京へ出てきて、もう七年が過ぎようとしていた。 ウサギを隣に寝かせて、オカンはスーパーファミコンの「ぷよぷよ」をやっている。やり方を教えてやったら、このゲームだけは気に入ったようで、毎日のようにひとりで声を上げながら身体も一緒に働かして夢中になっている。 「あんまりやりよったら目を悪くするよ」 食事をしながらそれを見ているボクに注意されながら「あと十分やったらやめる」と小学生のように繰り返していた。 何度も連鎖のやり方を教えてやったのに、まるで理解することができず、ただ、ひとつずつ色を繋げては消してゆくだけしかできない。 「そのやり方で、おもしろいん?」 「おもしろいよ」 「そんなら、いいけど……」 擂り鉢に入ったピーナッツを擂り粉木潰しながらホセは言った。 「僕、この間、お母さんに負けたんですよ」 「オマエ……、すごいな……」 オカンの作る豚しゃぶのタレは、ピーナッツを大量に擂りおろすところから始まる。そのピーナッツも、殻付きのものからでないと味が悪いらしい。このへんの体力を使う下拵えはオカンに呼び出されたホセの担当になっている。 こんなに長く、ひとつの場所に住んだことは今までになかった。生まれた時から、オカンと様々な場所を転々しながらひとり暮らしを始め、東京へやって来て、更に短い周期で住み処を移り続けた。 それは、ボクが生まれてからのオカンも同じことだった。しかし、もうボクとオカンが雑居ビルに一緒にいることも、同じ部屋に長く住み続けているとも、当たり前のことになっていた。 特別ではなくとも前よりはマシなこの風景にボクたちは慣れて、麻痺していた。 「最近なんか、食べ物が引っかかるような気がするんよねぇ」 二十世紀もあと数ヶ月を残した秋口から、オカンはたびたび同じことを言うようになった。 「病院は行きよるんやろ?」 「先生も色々、話を聞いてくれよるし、薬も出してもろうとるんやけど、これ一週間飲んで治らんようやったら、レントゲン撮りましょうて言われるとる」 「そしたら、ちゃんと診てもらい」 これといって痛みがあるようでも、体重が落ちるといったこともなかった。 「食欲はないんよねぇ」 「夏の疲れが出とるんやない?ホルモンの薬も飲みよるんやろ?」 「飲みよるよ」 母亲来东京,马上就要过去七年了。 和兔子相邻而休息,母亲还快乐地玩着超级游戏机。只要交给玩的方法,就全身心地投入到这个游戏中去,几乎每天都一个人发出声音不停着摇晃着身体就像进入到梦中那样。 “要是那样玩下去,会很伤眼睛。” 我正在吃着饭看到这些引起我注意的时候,就催母亲不玩,而母亲就像小学生那样反复地玩着:再过十分钟就不玩了。 不知道已经教了多少次相关的玩法,简直就是一点也没有理解透那样,也只是关心一种颜色将它消灭下去。 “那样的玩法有趣吗?” “很好玩呀。” “即便那样,也还不错的……” 正在用捣槌捣碎着捣罐里花生米的ホセ说: “最近,我输给了阿姨。” “你,也太笨了吧。” 母亲所做的猪肉佐料,是从大量使用碎花生米开始的。那个花生米若不带外包皮,味道很难闻。像这样消耗体力的准备工作,母亲就叫来ホセ让他承担了起来。 这么长时间一直住在一个地方,至今还没有。从出生那个时候开始,和母亲一起游离到各种地方,从我开始自己生活来到东京,在更短的时间内不停地转移住所。 自我出生后母亲也是相同的状况。但是,我和母亲一起住在杂居楼,而且长时间住在同一个房间,这些事情都是很自然的事情了。 也并不是特别,和以前相比,对这种情景,我们已经习惯、已经麻痹了。 “最近怎么回事呢?开始操心起食物了。” 从二十世纪最后几个月的秋初,母亲反复说同样的事情了。 “是不是要住院呢?” “医生有很多医嘱,也领了好多的药,在一个星期内吃掉就能很好治疗,然后再拍射线照片。” “那样的话,正好可诊断一次。” 虽然这样基本正常但疼痛还是有的,体重也没有减小。 “已经没有食欲了。” “是不是夏天太疲劳了?是不是吃一点激素药?” “那就吃了吧。” |
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