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yamoli66 2012-02-12 20:39

『東京タワー』の翻訳(205)


Ⅶ(22)

「帰ってやりよ。最後に顔見せてやり」
「……。いや、帰らん……」
「おいちゃんは立派に働いて、子供も育ってて頑張ってきたんやけん。そのおいちゃんが自分で決めたことなんやけん。若いもんのする同じこととは違うんよ。明日の朝一番の新幹線で行ってやり。あれだけ立派に生きてきた大人の人が年取って亡くなる時は、もうそれがどんな死に方でも、その時が寿命よ。帰ってやったら、おいちゃんも喜ぶよ。お疲れさまって言うてやったらええ」
オカンは一晩中、泣いた。次の朝、渡した旅費と香典を持って、朝一番の新幹線で筑豊に帰って行った。

オカンの手術の日。
朝九時に病院へ行くと、もうオカンはストレッチャーの上に乗せられていた。二週間の事前入院の間、同室のおばさんたちとしっかりコミュニケーションをとっていたようで、ストレッチャーの周りには寝着を着たおばさんはオカンを励ましながら泣いている。病人同士の友情は利害がなくシンプルだが、することの縁起は悪い。
両耳に数え切れないほどのピアスをした茶髪の看護婦が恐ろしく長い針の予備麻酔をオカンの肩に突き刺した。
あんたが普段、ジュリアナ東京で扇子を振り回しながらパンツ丸見せにしているとしても、その注射だけはしっかり打ってくれ、と心の中で強く祈った。
一度、九州に戻って前日にまたやって来たオトンと、ストレッチャーの後ろをついて行く。病室の外まで同室のおばさんたちが泣きながら見送り、手を振った。
「がんばってぇー!!」。病人同士の連帯感は熱い。
麻酔の効き始めたオカンの口元からこぼれるよだれをガーゼで拭いた。
手術室の大きな自動ドアが開き、ストレッチャーごとオカンはドラマのワンシーンのように吸い込まれて行った。
空虚な目でボクを見ていたオカンに、何かかけてあげる言葉も見つからず、ボクはただ閉じた手術室の自動ドアの向こうを見つめながらガーゼを強く握りしめるしかなかった。
オトンは後方から、心細く立ちすくんでいるボクに、おいと声を掛けた。
「煙草喫いたいのぉ」
本当に好きだ、この人、煙草が。
手術が終わったのは、それから十五時間後の夜更けだった。


“回去一下吧。看一下最后的遗容。”
“……还是不回去吧,不能回去。”
“他干得真不错,把孩子培养好,都是努力的结果。那并不是他自己所办的事。这和年轻时办事不一样。明天乘早上最早的新干线去。那样潇洒走过来的人年纪大了而死掉,这个时候,别管是什么方式死去的人,那个时候就是他的寿命。若是回去了,他也会高兴的。虽然说回去一趟不容易,但还是回去好。”
母亲在那一晚上一直在哭。第二天早上,带上所要花的费用和奠仪,乘早上最早一班新干线回筑丰去。

母亲的手术日。
早上九点到医院,母亲已经被放到担架上。在这手术前两周的时间里,同病房的阿姨们相互交流地真不错,在担架周围穿着睡服的阿姨们一边哭泣着一边鼓励着母亲。病友的友情没有利害关系,是纯朴的,而起源却是病这一坏事。
在两耳上有无数耳环的黄头发的护士用让人恐惧的长针把准备好的麻醉剂打进母亲的肩上。
你平时在东京扇扇子便能完全看到内裤,但那注射也照样会狠狠地给打上,在心中却强烈地祈祷。
曾回九州一次的父亲,在前天又回到了这里,他也紧跟在担架的后面往前走。同病房的阿姨们站在病房外面流着泪目送着,挥着手。
“要坚持住。”病人们的连带感很强烈。
麻醉剂开始起作用,从母亲的嘴角流出口水,用纱布擦着。
手术室的很大的自动门打开了,躺在担架上的母亲像电视剧里面那样被吸了进去。
母亲用空虚的目光看着我,我也找不到什么语言要给母亲说,也只能望着手术室自动关闭的大门,手里紧紧握着纱布。
父亲从后面对细心呆立在那里的我叫出声来。
“我想抽烟了。”
这个人,实在太喜欢香烟了。
手术结束的时候,是从现在开始十五个小时之后的深夜了。

yamoli66 2012-02-12 20:40
同病相怜。
在同一病房住院的病友,逐渐建立起了感情。


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