■■第9回 食品価格が高騰してるって?■■
昨年の夏ごろから「CPI」という言葉が新聞によく出るようになった。CPIとは「消費者物価指数」。北京市内の物価が上昇している。特に豚肉の値段が上がっているとよく新聞やメディアに出ていたが、私自身正直実感はなかった。中国の食品は安いのでそれほど金額に敏感になっていなかったのだ。
北京ではいろんな物価がどんどん上がってきているが、その著しいものが食品関連だ。
例えばレストラン。ある日一人いくらというコース料理設定の四川料理レストランでは、一人128元から158元に値上がっていることに気付いた。この手のコース料理の宮廷料理もどんどん値上げしている。また北京ダックもしかり。ある店は2005年に初めて来た時は確か100元しなかったはずだが、今では130元ぐらい。観光客をターゲットにしているところは値段を上げやすいのか、確実にこの1,2年でじわじわ値上がりしている。
日々購入している食材の話しに戻すと、確かに物価が上がっているということが秋になってからわかってきた。スーパーで日々同じ値段で買っているものが少しずつ上がり始めたのだ。私がよく利用している近所の外国人向けのスーパーは大手スーパーよりも多少高いが、わずかの時間で手早く買えて重宝している。それでも食品の買い物は1日平均50-60元(800円-950円)程度なので、日本よりも物価はかなり安い。だから少々野菜や肉の値段が上がっても、ほとんど気付かないのだ。
でも最近の我が家の食費の上昇は著しい。食費を押し上げているのは値上げだけでなく、他の理由もある。一般的に輸入品は日本で買うよりも高いが、中国の製品は安い。ところが最近はそうもいかなくなってきた。
中国の牛乳は味が薄くてまずいと思っていたら、濃い味の牛乳が販売されるようになった。以前は6.5元(98円)の牛乳を買っていたが、ある日その牛乳が品切れをしていて、濃い味の牛乳を買ったら美味しかった。子どもがこの牛乳がいいというので、それ以来濃い味の牛乳をよく買っている。値段は13元(195円)と倍の値段。
この数カ月で牛乳の値段はみるみる上がり、数か月の間に17元(255円)になった。4元(60円)の値上げだ。こうなると日本よりも高い。それよりもワンランク落ちる以前9.5元(143円)の牛乳も4元値上げして今は13.5元(203円)。以前は6.5元の牛乳を買っていたのだから、1本157円もよけいに牛乳代に払っている。しかも育ち盛りの子どもがいるので、牛乳は欠かせない。いよいよ中国のインフレを日々実感しているこの頃だ。
最近は富裕層向けの高級食材や、日本人のし好に合うものもどんどん出てきている。しかもそういう物は高い。では買わなければいいが、いったん買ってみると、買わざるを得なくなる物が多く、しっかり売る側の思うつぼにはまっている。
例えば、卵。北京でも生食できる卵の販売が始まった。日本からの輸入ではなく、日本のブランドが富裕層や日本人向けに中国で生産している商品だ。私も子どもも納豆に生卵をかけたかったので、この卵はとても嬉しい一品だが、値段もすごく10個入り25元(400円)。
中国の食の安全については当然不安を感じているが、格差社会の中国ではいろんなオプションが用意されている。辛うじて日々の生活を送っている人々