第3回 牛仔天国 ~上海女性のジーンズ事情~(前編)
デニム天国の主流は“MM的DIY牛仔”
この2~3年もの間、日本では空前のジーンズブームを迎え、数多くのブランドが海外から入ってきている。ペーパーデニム&クロス、ブルーカルト、ジェームス、トゥルー・レリジョン……。どれも2万円前後~3万円もするデニムだが、飛ぶように売れている人気のジーンズブランドだ。 ブームの火付け役は、LA生まれのセブン(正式名:Seven for all mankind)。生まれてこのかた、ジーンズをはいたことのなかった女性も、こぞって絶賛し、一時期、東京では、街を歩くジーンズ姿の女性の8割が、バックポケットにブランドの頭文字である“S”をモチーフにした刺繍入りのジーンズをはいていた。
すべてに共通するのが、股上の浅い、腰ではくローライズタイプで、腿から膝まではピッタリめ、裾がやや広がったシルエットということだ。腰位置が低いため、ベルトを配しておなか周りをすっきりカバーしてくれる効果があったり、後ろポケットの位置や大きさにも工夫があるから、ヒップの形も補正してくれる。おまけに、膝位置を高めに設定して、膝下を長く見せたり、絶妙な色の濃淡で、小馴れた雰囲気を出しながら、色の妙によって足をほっそり長く、きれいにも見せてくれる。グラマラスなラインと雰囲気で、ハリウッドセレブが愛用しているものは、“セレブ系ジーンズ”とも呼ばれている。
“美脚&美尻系”と総称される、これらのジーンズは、かつてのイメージを一新させた。 ディテールの妙技で、「体系がバレてしまうから」と、敬遠していた女性を取り込み、女性らしいラインを叶えるシルエットで、「カジュアルできちんとした感じがない」「エレガントでない」と、拒否していた女性を納得させたというわけだ。
★ ★ ★と、ここまでは日本での話。ところ変わって、上海はというと、やはり同様に、ジーンズは圧倒的に人気のアイテムで、“美脚&美尻系”のシルエットが主流である。
夏になると、フルレングスに加えて、七分丈、膝丈、腿丈、ホットパンツ、ミニスカート、ワンピースなど、ジーンズのバリエーションがグッと増え、上海の街は、まさにデニム天国。上海っ娘たちは、露出度の高さに躊躇することなく、思い思いのものを積極的に身に着けている。そしてそれらのほとんどには、刺繍、ラインストーン、スパンコール、ワッペン、レースなどのデザインが施され、手を加えていないノーマルなものを見つけるのが難しいほどだ。
おしゃれにうるさい上海っ娘は、人と同じなのが嫌い。だから、手を加えた個性的なもので差をつけられる、カスタマイズ化したジーンズを好む。カジュアルブランドESPRIT「edc」の刺繍入りジーンズの人気や、さらには、2~3年前から流行っているDIY(Do It Yourselfの略)の流れも汲んで、このテのものが主流になったとも言えそうだ。その証拠に、こういったジーンズは

