上海市は北京市・天津市・重慶市と並ぶ「中央直轄特別市」。中央直轄特別市は「省」や「自治区」と同格であり、例えば南京市や広州市よりも行政上の地位が高い。
上海市長は韓正氏(1954年生・浙江省慈渓市出身)。1998年から上海市副市長を務め49歳の若さで2003年2月に市長に就任した。党書記については2007年5月に習近平氏(1953年生・陜西省富平県出身)が就任したが、同年10月の中央の党大会で中国の最高指導部である政治局常務委員に選出されている。党書記は共産党での序列ナンバーワンであり、党内では市長よりも上位となる。
経済成長の推移上海の発展は中国南部に比べ遅れて始まっている。
1984年に沿海14都市の一つに指定され経済特区に準ずる外資優遇政策を持つ経済技術開発区が市内の3ヵ所に設けられるなどしたが、80年代を通じて上海の発展は広東省の経済特区に比べれば緩やかなものであった。
1989年の天安門事件以降一時的に落ち込んだ後、1990年に浦東新区の開発が国家プロジェクトとして開始され経済特区並みの優遇政策が与えられることとなり急速な成長が始まる。さらに 小平氏の南巡講話(1992年、 小平氏が上海、深セン、珠海、武漢を視察し、改革開放政策の成功を宣言し、さらなる開放を推し進めるべきと唱えた講話)以降、上海の発展が強力に推し進められることとなった。1990年代の中国の発展は上海中心といってよく、1993年前後のGDP成長率は14%を超える高成長を誇った。
1997年のアジア金融危機以降、一次景気は調整局面に入るが2002年から回復基調に入る。
2005年頃に短い調整がなされ成長率は2004年の14.2%から11.1%に落ち込むが、すぐに上昇に転じ、昨今では不動産市況などにみられるように、景気過熱感が出てきている。物価上昇も顕著になってきており、不動産関連規制など各種景気過熱抑制政策が採られている。
産業の構造第1次産業の占める割合が極端に低い。金融・貿易・物流の中心地である上海は第3次産業の発展が著しく、全GDPのほぼ半分を第3次産業が稼ぎ出している。
第十一次5ヵ年計画でも、現代的サービス業の優先的発展を最重要視することが宣言されている。具体的には金融業、物流業、レジャー・娯楽などの文化関連産業等の発展が図られる。
第十一次5ヵ年計画では、現代的サービス業に続いて先進的製造業の発展を目指すことが掲げられた。すなわち、自動車、発電プラントや交通車両などの大型設備、船舶、航空、自動車研究開発、集積回路、バイオ関連等の製造業であり、それぞれ育成が図られている。
インフラ整
