上海の地図を見ると、ほとんどの道路は東西若しくは南北に走っているが、黄浦江の側に円形になっている道がある。これは、倭寇の襲撃を防ぐために16世紀半ばに作られた城壁だったところである。城壁は周囲5キロ弱、高さは8メートルあったとされるが、1912年に取り壊され、現在は人民路と中華路になっている。この円形の道の内側は旧上海城とよばれ、租界時代の上海においても中国人だけが住む地域だったという。
この地域の中心に豫園がある。豫園の「豫」は「愉」に通じ、すなわち「楽しい園」という意味。豫園は外灘と並ぶ上海2大観光スポットのうちの一つであり、上海に来た観光客はほぼ必ず訪れる場所だ。面積は狭いので、急いで回れば30分でも見ることも不可能ではないが、狭い空間に芸術品のように細かい工夫が多数なされている庭園なので、是非じっくりと時間をかけて観光してほしい
開園時間:8時30分~17:30時(チケット販売は17:00まで)入園料:30元(身長1.2m以下子供及び70歳以上の老人は10元)
また豫園周辺の豫園商城は、多くの商店が軒を並べる地域であり、中国各地からやってきた観光客でごった返している。日曜日の午後などは真っ直ぐに歩けない程の人混みとなる。買い物はしなくても、人物観察をしているだけでも楽しい地域である。ここの小龍包は有名であり、一度試す価値がある。
豫園商城を散策、湖心亭でお茶をのみ、豫園を観光。帰りがけに小龍包を食べるというコースなら、是非2~3時間はみておきたい。
豫園 地図
湖心亭と九曲橋豫園商城を抜けると、豫園入口の前に緑波池という蓮の池がある。池の中に建っている2階建ての東屋は、ちょうど池の真ん中にあることから湖心亭と呼ばれる。400年前に建てられたものが1784年に再建されたものである。中は喫茶店になっている。2階に上がって龍井茶を一服していこう。お茶は結構高く、日本の喫茶店で飲む程度の値段だが、窓際の席などは景色もよく、思わず長居をしたくなる(営業時間:8:30~21:00、2階のお茶は50元~108元)。
湖心亭を結びギザギザにかかっている橋は九曲橋と言う。以前は石づくりであったが1932年に鉄筋コンクリート製に再建された。ギザギザになっている理由は、人間はジグザグに歩けるが、悪霊は真っ直ぐ進むのでこれを池に落としてしまうためとか、湖岸から見たデザインがいいとか、橋をジグザグに歩けば景色がいろいろに変わること等だ。曲がる回数が九回であるのは、九は一桁の数の中で一番大きいので規模が大きいことを象徴するのだそうだ
三稲堂豫園の門をくぐるとまず正面に見えるのが三稲堂である。三稲堂とは豊作を祈念して付けられた名のようで、建物のドアには、稲、麦、黍、瓜類の浮き彫りがなされている。元は楽寿堂と呼ばれたが、1760年に再建され、名前も変えられた。豫園でも最も古い建物のうちの一つであり、釘を使わない建築としても知られている。屋根の上には、右側には張飛、左側には関羽の像がある。三稲堂に入ると、正面に3つの額がかけられているが、これは、豫園の所有者が数回に渡って代わったことを示している。一番上には「城市山林」と書かれている。城市とは市街地のことであり、すなわち、「豫園は街のなかのオアシスだ」という気持ちが現されている。真ん中の「霊台経始」とは「祖先の霊に

