上海文廟~古本市場を訪ねて~
上海が一番上海らしいところ、それが実はこの文廟あたりであったりする。
私は日本から友人が訪れてくると、この文廟エリアと世紀公園エリアはかならず案内することにしている。世紀公園エリアが未来の上海を予想させるものであれば、文廟はまさに一昔前の上海人のいとなみがある。過去の上海と未来の上海との対比は非常に面白い。
豫園の旧市街地から河南路をさらに南に下っていくと文廟がある。今回は、上海の市街地で唯一のこっている古本市と孔子を祭っている文廟を訪れてみた。
文廟あたりには今でだんだん減りつつある上海の光景が残る
毎週日曜日に開催される古本市
上海は商業的な色合いが濃い街なので、北京などと比べると文化的な香りという面ではやはりかなわない。でも上海人も非常に本が好きであるのは確か。
この文廟の古本市は毎日やっているわけではない。基本的に毎週日曜日、文廟前の広場で市場が立つ。時間は朝7時30分から夕方4時まで。この古本市の歴史は意外と最近で、1986年にはじまる。現地の人の話によれば、当時上海市長だった江沢民が上海市の本の交易を盛んにしようと、この古本市の立ち上げに一役買ったらしい。その当時は、古本を持ってきては本と交換するという物々交換方式が中心で、娯楽の少なかった当時、市民の楽しみの一つでもあった。これだけ上海の街が急激に発展している中でも、この古本市場は健在だ。多いときには1日1万人の市民が利用するそうだ。
文廟を訪れるまでの道のりがまた楽しい。文廟前には文廟路という通りがあるが、ここにはいろいろな小物や文房具、グッズを売っている店が多い。一昔前は、両側はすべてCDやDVDの海賊版オンパレードだったが、上海市が海賊版摘発に本腰を入れるようになってから、すっかり姿を消してしまった。その代わり、今は小中学生の上海っ子たちが好きそうなキャラクターグッズなどが所狭しと並んでいる。
文廟(古本市も含む)に入る場合は、まず入り口で10元のチケットを購入する。留学生など学生の場合は、学生証があれば半額になる。
私もよくこの文廟には訪れる。というのは、いま市内の医学書店などでは販売されていない絶版となった医学書が時々出ることがあるからだ。中医学といっても古本市に並ぶ書物のほとんどが学術的にもまったく価値のないどうしようもないものが多 br />

